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あねっちゃ

Author:あねっちゃ
20ン年の共働き生活を休止し,専業主婦デビュー。
潜伏4年を経て,再就職トレ開始。
ゆるゆるな日常をゆるゆると書いております。
佐藤竹善・SING LIKE TALKINGファン歴25年。
2010年にMEA(マイクロ波子宮内膜アブレーション)を受けました。それについてのモロモロは,旧ブログのフリーページに置いてありますので,リンクからどうぞ☆
写真はクリックで大きくなったりならなかったり。

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父と訣れる。

その日の朝,
電話に出た私の耳に聞こえてきたのは,悲鳴のような母の泣き声。

老老介護が2年半に及び,
父の負担は増し,母の体力は確実に落ちてきていたので,
私はこの春からは一切の仕事を入れず,介護の手伝いに行く手はずを整えていた。

看る人 の苛立ちと
看てもらうしかない人 の心痛は,もはや限界に達していて

もうこれ以上,二人を一緒にしておくことは最悪の事態しか招かないと,
いつかこの日が訪れるだろうと考えていたことを,実行に移す決意をした。

電話口で恐怖に震え,とめどなく涙を流している母に
「私が迎えに行くから。用意しておいて。」と告げ,
翌日早くに母を迎えに出た。

父からの相当な抵抗を受けることを想定して,チビを伴うことにした。
孫の前では,凶行に及ぶことは無かろう。
チビには申し訳ないが「ばあちゃんを救けに行く。ついてきて。」と短く理由を話し,
感じたことのない戦慄と緊張感を持ち,実家へ走った。

着くと,困ったような笑顔の父。
「ずいぶん急だな。母さん,朝に突然言うもの。」
言葉をやりすごし,心を決めた母のもとへ。

「あね子が秋田の大きな病院に診せたいって。
今日これからあね子が迎えに来るからって,父さんに言った。」

父が納得するしかない理由を自らはっきり告げ,
ここから出ていくことを決めた母は,もう涙は流しておらず,
身の回りのものを既にまとめて,すぐにでも出かけられる支度を整えていた。
私は,母の寝具を用意してきた布団袋に入れ,

「そういうことなので,父さん。今まで長いことありがとう。
母さんは私が面倒を見るから,父さんはまずゆっくり休んで。」

あわあわと何か言おうとしている父に声をかけ
母を車に乗せ,家を後にした。

むしろ近所の人に見られたほうが好都合だ。
娘さんが来て母さんを連れて行った,という噂は,町内にすぐ広がってくれたほうがいい。
母を心配してパトカーを呼んでくれた方々も,これで安堵してくれるだろう。

これは単なる介護のバトンタッチではなく,
命の終わりに怯えながら向き合っている女性を,
その命を脅かす絶対的存在から救い出すことだ。

娘として,否,ひとりの人間として。


2時間半の帰路。
わたしたち母子は饒舌だった。
誰はばかることなく,こんなに話したことは,もう何年と無かった。

もう父のもとへは戻らないと決めた母。

夜,眠りに就く度
今夜は無事で眠れるだろうか という恐怖からやっと解放されて
こんこんと眠り,気持ちよく朝を迎える母の笑顔に

同じ怯えを抱えて眠りについていた私の決断は
やはり間違ってはいなかった。

あとどのくらい一緒にここで過ごせるか分からない。
穏やかで,笑いに包まれ,おいしく食事ができる毎日が
なんでもなく送れますよう。

よろしかったらぽちっとな☆φ( ・ω・ )
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